「少年山荘」の作者です。
今回、期間限定で当ブログのお手伝いをさせていただくことになりました。


舞台装置プラン発表今日、2008最後の稽古場では舞台装置のプランが発表されました。
それから通しで本読み。


さて、「少年山荘」の主人公はご存じ竹久夢二です。
竹久夢二というと「大正の歌麿」と呼ばれた人なので、その時代の文化(美術)の象徴みたいな見方をされるかもしれません。
誤解を招くかも知れませんが、書いた者としては時代をあまり意識していません。
(軽視しているわけではありません)
夢二の関連資料はそこかしこに膨大にあり、何本かの映画にもなっています。
つまり、「竹久夢二」像には、すでに括弧付きの「夢二」があるのです。
書く者としては「どこを切り取るか」ですが、最初そこに停滞していたところ、ある小さな「事件」がありました。



ある年の終わり。
お世話になっている一家と近所の居酒屋で食事をしたときのこと。
そろそろお開きにしようかという時、僕の背後で不思議な光景が始まりました。

「おちゃらか おちゃらか おちゃらか ほい」
一分後。
「おちゃらか おちゃらか おちゃらか ほい」
三分後。
「おちゃらか おちゃらか おちゃらか ほい」
五分後...。
「おちゃらか おちゃらか おちゃらか ほい」

なんともまあ、うちの嫁さんと小学校の女の子が延々と「おちゃらか ほい」繰り返しているのです。
十分近く続いたかもしれません。
よく飽きないなあ、とぼんやり見ていましたが、いつの間にかすっかり引き込まれていました。
「勝ったよ」「負けたよ」「あいこで」などと互いにペコリとバンザイを繰り返しながら、終わりのない「たたかい」を繰り広げているのです。
でも、なんと爽やかで邪気のない「たたかい」でしょう。
これだ、と思いました。
竹久夢二を切り取る「面」が見えた瞬間。



稽古場に一本の道が見えてくるバラバラだった個々のシークエンス(繋がっている一連のシーン)が一本の道になって伸びていきます。
稽古場に加われるのはホンを書いた者の特権ですね。ひとつの舞台が出来上がっていく行程をつぶさに見ることは無情の喜びです。
役者は凄い。本当に凄い。

鍋を囲んで稽古終わりに、みんなと鍋を囲みました。
こんな幸せな年末はありません。
来年早々に、また稽古場で「たたかい」が始まります。
僕たちの真剣な「たたかい」を是非、劇場でご覧ください。
これは「たたかい」です。


尾崎太郎

2008年12月29日
2008年最後の稽古を終えて