藤城画商役、平尾仁。画商=美術商ってどういう仕事かご存じですか? 
簡潔にいえば、美術家(芸術家)から美術品を仕入れ、それを顧客(コレクター)などに販売する業者をさします。絵画を扱う専門の美術商を「画商」といいます。
でも、「藤城画商」って奴は一癖も二癖もある人なのです。
つまり、裏街道を歩く人なのです。
問題はまったく異なりますが、昨今では、アメリカが生んだサブプライムローンがあります。
本来の株の価値よりも一部の悪質な証券会社が、自分勝手に格付けの付加価値をプラスした結果、全世界の金融機関で信用が破綻し、結果として起こるべくして起こった資本主義経済ならではの「負」連鎖です。
このように、いくら世の中が発展しても、所詮モノの価値を決めるのは人ですから、決めるべきその人の目利きが悪であるならば、悪の連鎖が自然と起きるのは世の常です。
特に、絵画や彫刻などの芸術界では、昔からこのような商売が地下で密かに行われているそうです。原価が決まっていない商材ですから、価値を誰かが決めないと、市場価値が発生しないものだからです。
「藤城画商」はこの戯曲においては、他のキャストと背景・立場が全く違います。
独自の視座で、乾いた角度で、俯瞰で、周囲を窺っています。


煙草と平尾仁大先輩の平尾さんは、いつも稽古場の雰囲気を明るく盛り上げてくださいます。
でも、ひとつだけ気になることがあるのです。
平尾さんが煙草をお召しになるシーンです。
よくよく耳をそばだてると、煙草を唇から離す瞬間、口元から「チュパッ」「ジュパッ」と弾ける、気っ風がよいシズル音がたまにします。
(あ、まるでチュッパチャップスしゃぶってるみたい)
と、内心で思っている人は僕だけでしょうか。
稽古場にいる人以外、意味不明かもしれません。
すみません。



尾崎太郎