皆さん、こんばんは。

見よ、飛行機の高く飛べるを

大変、好評を頂いております出演者たちの「私の学生時代」

本日は、板谷順吉(板谷わとの息子、飾職人)役の 田島俊弥(たじま・しゅんや) です!
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(稽古中の田島俊弥/撮影=小林万里)

あの日の思い出



「綺麗だなぁ・・・」
桜が咲いて暖かくなったかと思ったら、夜はまだまだ寒い。こんな日はやけに星空が綺麗に見える。
「うぅ〜さぶい・・・」
駅からの帰り道が、なんだかいつもより長く感じる。

もう一度、空を見上げた。
「綺麗な星空・・・」
「あっ・・・!? 流れ星!!」

不意に小学生時代の頃の出来事を思い出した。
そうだ。あの日も確かに流れ星を見た。


私の小学生時代はヤンチャだった。
親の言うことは勿論のこと、先生の言うことも聞かなかった。
『絶対に◯◯してはいけません!』は『絶対に◯◯しなさい!!』に聞こえた。

夏休みに入ったその日も、いつもの場所で、いつもの3人のメンバーと遊ぶ計画を立てていた。
「・・・な、何する?」
やりたい遊びは決まっているのに、毎回、儀式のようにこのフレーズが出る。
「よ〜し、今日はっ」
「何してるの?」
いきなり声をかけられ、驚いて後ろを見た。
知らない男の子がニコニコ笑っている。
「え・・・ダレ?」
青いシャツに、薄汚れた緑色のズボン、真っ白い靴を履いていた。
「トオル。遊ぼ?」
「・・・いいよ」
子供の自己紹介は簡単だった。
何歳で?、どこに住んでいて?、何をしていたのか?
そんなことはどうでもよかった。
ただ楽しく遊べれば、それだけで良かった。

「自転車持ってる?」
「うん」
「遠いけど、大丈夫か?」
「もちろん」

夏休みに入ったら、電波塔まで行って、缶蹴りをしようとみんなで決めていた。
電波塔とは、この地域の山の天辺にある白い建物のことで、絶対に子供だけでは行ってはいけないと、
普段から特に注意されていた場所だった。
そこで、缶蹴りをするということは、肝試しに匹敵するぐらいのスリリングが味わえると誰もが確信していた。

蝉の応援歌が響き渡った。
誰かから貰った物なのか、兄ちゃんのお下がりなのか、トオルは黒い自転車を乗っていた。
背丈はクラスで前から3番目ぐらいであろうトオルは、必死に漕いで、俺たちについて来た。
そんな彼の頑張りは、すぐにメンバーとして認められていった。

「すっげ〜!!」
「あれ海だぜ、海〜!!」
「おい、トオル見えるか!?」
白い電波塔からは、微かではあるが水平線が見ることができた。
「僕、海に沈んでいく太陽を初めて見たよ。」
トオルは東京からの転校生で、海から上る日の出は見たことはあったが、
海に沈む夕日は初めて見たと興奮を押さえながら説明した。
みんなの顔は夕日に照らされ、白い電波塔は赤から黒へと変わっていった。
辺りはすっかり暗くなり始めていた。
俺たちは約束通り缶蹴りを始めた。

「おい、ライト消せって!」
息を殺しながら、俺は言った。
用心のために各自、小さい懐中電灯を持っていた。
俺はそれをトオルに貸し、なるべく近くに隠れるよう伝えた。
「消さないと見つかるぞ!」
今回の鬼の足の速さをトオルは知らない。
「見つかるぞ、明かり消せっての!」
恐る恐る木と木の間から様子を伺ったが、何の反応も無かった。
ライトの明かりだけが、コチラに返事をしていた。
真っ暗な森の中では、一点の閃光は特に目立った。
「おいっ!トオル!!」
鬼に見つかるのを覚悟で、草むらから身を乗り出して言った。

「なに?」
背後から小さな声がした。
真っ白な靴が黒くなってしまったせいか、思いもよらない方向から声がしたせいかはわからないが、
その声がトオル本人であるとわかるまで少し時間がかかった。
「トオル?」
「うん。どうしたの?」
「えっ?」
「何かあった?」
とトオルの手にはしっかりと俺の懐中電灯が握られていた。
「消えてる!」
「何が?」
「ライト!!」
「は?」
「じゃあ、あれは何?」
缶蹴りのことなど、すっかり忘れ、2人は明かりに向かって飛び出した。
数十分間悩み続けた難題の答えは、トオルの掌の中にゆっくりと包まれていた。

「ホタルだ!」


その後の記憶が無い。
全く無い。
夢だったのか・・・と考えてしまうほど、全く無い。

確か・・・あの後・・・
蛍を見つけた後に、みんなも集まって来て・・・
みんなで蛍を観察しているうちに、蛍が逃げちゃって・・・
それを見たトオルが・・・
流れ星みたいだね・・・
と言ったような、言わなかったような・・・。

その夜の出来事は、不思議な思い出となった。


ただ、確かなことが一つだけある。
トオルと遊んだのはそれっきりで、夏休み明けの3学期に、彼は転校しては来なかった。
他の学校に行ったのか、またどこかへ転校したのかは、定かではない。

私は星空を見るたびに思い出す。
一人の男の子が連れてきた、不思議な出来事を。

あの日は確かに流れ星を見た。

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いかがでしたでしょうか?田島俊弥・作「あの日の思い出」

劇団青年座『見よ、飛行機の高く飛べるを
出演シーンのインパクト抜群!
強烈な印象を残す田島俊弥の熱演に皆様ご期待ください!!
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<チケット取扱い>
劇団青年座=0120-291-481
青年座HP=http://www.seinenza.com
電子チケットぴあ=0570-02-9999【Pコード=435-399】
ローソンチケット=0570-084-003 【Lコード=32683】
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