1983年にドキュメンタリー映画製作にあたり寄稿された水上勉さんの文章をご紹介していきます。
長文の為、何日間かに分けて記載します。
故郷 若狭について書かれている文章です。


「原発の若狭のこと」その2

 私は故郷になぜ、あんなに原子力発電所が集中したのか、理由を知らない。

だが、年に4,5度帰郷するたびに、いろいろな人から話をきいて、多少とも、その理由について勉強してきたつもりだ。第一は、明治初期から、まったく地場産業がなく、昭和の高度成長期にも、成長がなく、ひたすら二男三男・子女を都会奉公に出してくらしてきた。

長男戸主を中心にする貧困な農漁民が多くて、彼らが人なみの、いや、世間なみのくらしがしてみたくて、企業の誘致をはかってきたが、そっぽをむかれてきた。最近になって、他所のいやがる原発をひと手にうけてしまった、というにつきる、という元小学校長の知人の説などに、成程とうなずかざるを得なかった。

50年間も小学校の教師をしていると、教えた子女が、都会に出て、薄幸な人生の終末をとげて、骨になってもどってくるのに何百回となく立ち会ってきたという。

若狭は人の子を都会という戦場に弾丸のように送ってきた国だという考えが消えないそうである。

ところが、原発がきて、やっとのことで、都市と同格になった気もする、
というこの教師あがりの人の、シニカルな微笑に出あうと、
あいかわらず若狭が、明治、大正期と同じように都会へエネルギーを送りつづけていることにかわりない運命を見る思いだ。


その3へ続く・・・



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