『旗を高く掲げよ』
出演者の
松熊つる松×石母田史朗
対談企画 第2回。

今回はそれぞれが演じる役どころについて話します。


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−それぞれの役どころについて教えてください。
松熊 私が演じるレナーテは、よく考えない人の役だと思うの。私にも当てはまるんだけど。
日本って平和だから、社会にあまり関わっていなくて、新聞読んだりニュース見たりしていても、それ以上、個人的に深く考えない人って多いと思うんだよね。私もこれ(台本)読んで反省したんだけど、家で新聞取とってても主なところしか読まないの。読んでも、芝居の題材になるかならないか、とかそういう風に考えちゃって。
自分でじゃあ今何しなきゃいけないかって考えない。
この役は、そういう表面的な時勢は捉えるんだけど。小さな個人の意見こそが、積み重なって大きな意見になってしまうってことを考えないでいる人の役。大勢いる人の役の代表みたいな感じ。
石母田 目の前の生活や家族のことだったりとかをまずは第一に考えるじゃないですか。みんなそうだと思うし。でも、この本でもそうだけど、それを別に悪いって言ってるわけじゃなくて。例えばユダヤ人のオットー(嶋田翔平)は、自分がユダヤ人であることによって、いろんな事をされているから自分に危機感がある。障がい者のブルーノ(小豆畑雅一)に関してもそう。自分に危機感があって、それに対する疑問をハロルドに対して「こうじゃないですか」って意見を言っていく。
ハロルドは「言ってることは分かるんだけど、じゃあどうしたらいいんだ」って。何を行動したらいいのか分かんない、普通の人だと思うんです。黒岩さんもダメだしで「無関心であることが一番危険だ」って仰ってたけど。
松熊 他から与えられる情報を良いことだと思って満足して。それが大方の人が良いって言ってるから「良いことだ」みたいな。
石母田 それが普通じゃないですか。義父役(コンラート)の山野さんが「歴史に学ばぬ者は愚かだ」ってセリフを言うんだけど。そういうことってあると思うんです。こういう歴史がある以上は、ある意味でいい見本があるわけだから・・・
松熊 (この作品で描かれている)前の時代が、世界恐慌や第一次世界大戦だったり、(経済が)もっと悪かった時代なんだよね。悪い時代があって、ちょっとでも良くなると、やっぱ今やっていることが正しいってなる。
石母田 そうですよ!
松熊 「これがいいじゃん」って思っちゃうよね。
石母田 そりゃそうですよ。
松熊 それがやっぱ危険だよね。
石母田 で、直接自分に被害がないっていうか。なければ(いろんな事が起きてるってことを)つゆ知らずじゃないですか。他人事ですよね。生活が良くなっていくわけですからね。大多数の人が良くなっていれば、大多数に流れるわけで。ほんと怖いことなんだけど。
松熊 格差がない気がしちゃうよね。この時代に生きてないからわかんないけど。ドイツ人として、守られている人たちは、格差がない錯覚に陥るっていうのかな。(私が演じる)レナーテは、気持ちのどこかで何か良くない事があるんじゃないだろうかって思っていても、自分の生活がその時最低限守られていると思ったら、やっぱそれでいいじゃないと思っちゃうみたいな。


次回に続く…



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劇団青年座 第227回公演
旗を高く掲げよ 
7月29日(金)〜8月6日(日) 青年座劇場

◆出演者ブログ◆

渕野陽子ブログ→気まぐれ日記
松熊つる松ブログ→つる松のおんがえし小豆畑雅一ブログ→小さい豆の畑と書いてアズハタです!
嶋田翔平ブログ→shimashow's cafe


<チケット取り扱い>
劇団青年座=0120-291-481(平日11:00〜18:00)
『旗を高く掲げよ』チケット予約フォーム=https://www.quartet-online.net/ticket/hata
電子チケットぴあ=0570-02-9999【Pコード=459-336】
ローソンチケット=0570-084ー003 【Lコード=31820】
           0570-000-407(オペレーター対応)
イープラス=http://eplus.jp