UFO3撮影=坂本正郁


『真っ赤なUFO』
出演者の小林さやか×山秀樹 の対談をお届けする第2回

今回は作者 太田善也さんについてです。

―作者・太田善也さんはどんな方ですか?
小林 才能はもちろんあると思うけど、優しくて、めちゃくちゃ気弱かな。そうだからダメな人間を書ける。そういうのが(太田さんが主宰していた)散歩道楽だったんだよね。散歩道楽も解散して…立派なものを書かなきゃいけないってなると、たちまちどうしていいか分かんなくなっちゃうんだけど。
 作家として要求されるものも変わってくるだろうし。
小林 弱くてダメな人間って優しいよ。人の弱い部分をよーくわかってるから。(太田くんは)ダメな人間をすごく愛おしいと思って書くかな。

―小林さんが感じる、太田さんの作風で、ここが変わったなと思う部分はありますか?
小林 昔、(私が組んでいるユニットの)トローチに『スウィング・アウト・ペアレンツ』を書いてもらったのが、ちょうど太田くんに子供ども出来た時だったのね。それまでは息子側の心情に焦点をあてて書いていたのが、子どもを扱う親の気持ちを書いてくれたの。今回も父親目線で書かれている作品だよね。父親側を豊かに書いていこうとしてるのかも。そういう変化があるのかもしれない。

―打ち合わせの時、太田さんも黒岩さんも、子どもが産まれて考え方が変わったって話をしてました。
小林 どこに自分を置いて書くかっていう視点が変わったんだね。書きたい題材が、家族になった。太田くん自身が今、家族、とくに娘さんのことに集中してるから。娘がかわいくて仕方なくて、(顔合わせの時に)ずっと写真見せてくれたりね。

―娘さん、高松さん演じる柴龍之介のしゃべり方を真似しているらしいですよ
小林 この前おかしかったね。(高松が)急にしゃべり方変えてきたから。
 いいと思うよ。稽古のチャレンジとして振り切らないとね。小さいことをちょこちょこやるより、違う方向にふれて直す方がいいから。俺もそういうタイプだし。たとえそれが頓珍漢だとしても、一回ガーッと違う方向にふれて、それを修正、消去する方がいいよ。俺はあいつの性格を近くで見てたりして知ってるから。
小林 稽古場がわいたしね。
 あと太田さんの台本の中に「おらぁ」ってセリフが出てきたり。どっかで普通じゃなくなる瞬間がフワフワっと出ることがある。太田さんのそういうセンスってすごく好きで。僕なんかは、一緒にやりたいと思うよね。そういうセンスを持ってる人が描くから、結果的に何があがってきても面白がってやれるみたいな。『つちのこ』は劇団の作品の中で一番好きって公言しているくらい好きで。ストーリーなんて、なんともないのよ。金塊見つけて、「どうしよ、どうしよ」って慌てて、嘘ついて。幼なじみ3人で大金を隠して。結局それが政治家の隠し金だったっていう。そこに大河的なものはないんだけど。でもあのセンスに彩られながら、役者がそれぞれその役を演じると見えてくる面白さがあると思ってるんだよね。とある著名な作家さんが、「新劇はストーリーでみせる」って言ってたことがあった。新劇ってそういうもんなんだと思われた時に、太田さんの大作的なものじゃないセンスに共感できるな。





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劇団青年座 第228回公演
真っ赤なUFO 
9月29日(金)〜10月8日(日) 青年座劇場

◆出演者ブログ◆

高松潤ブログ「チョイと土手まで来い!」→ページはこちら

當銀祥恵ブログ「気儘に、まにまに」→ページはこちら


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