『真っ赤なUFO』出演者
小林さやか×山秀樹の対談をお届けするブログ
第3回目は
演出家 黒岩亮について話しています。
――お二人は黒岩作品への出演回数が多いですよね。黒岩さんの印象について聞かせてください。
小林 黒岩さんはね、オタクだと思うの。
山 俺、マニアックって言おうとした。掘り下げ方がすごいよね。『旗を高く掲げよ』の戦争ものにしろ、今回や『つちのこ』みたいなコメディ、『タカラレ六郎の仇討ち』みたいなハードボイルドコメディみたいなのも。
広く浅く(の解釈)でいいような気がするものも、ぼっこぼこ深いっていうか。黒岩さんの話を聞いてて、俺の方が上回ってるなって思ったことないからさ。違うな、と思うことはあってもね。すごくいろいろ考えてるなって。一個一個の掘り下げ方が深い。
昔出会った演出家が「演出家は全体を見てるから、その役に関してはキャストがプロフェッショナルであるべきだ」って言われた。キャスティングされた人が一番その役について知ってるはずだし、知ってなきゃいけないと思う。それでも黒岩さんには情報量とか考え方に感服する。「あー、そういう風に見てたんだ」って。
――小林さんは?
小林 今回は、特に(黒岩さんが)イヒイヒって笑いながらやってるなーって思うの。もともと関西の人だから可笑しいことは好きなんだろうなって。吉本新喜劇みたいなのを見て育ってきたんだろうって感じが昔よりして、可笑しいことを可笑しくやろうとしてるなってことが伝わってくる。
山 笑えるところは笑えるお芝居に持って行くみたいな。 (黒岩さん)楽しんでますよね。
小林 なんか楽しんでる感じする。
山 黒岩さんの経験談をダメ出しの中で話すじゃない。多分、自分の昔の姿を(松田演じる長男)誠に投影してたり、もしかしたら黒岩さんの親父って清みたいな感じだったのかなとか。書いたのは太田さんだけど、設定は、黒岩家の芝居になってんじゃないかって思うことがある。自分が昭和50年代のUFOブームが全盛だった時代を楽しんでるっていうか、そういう風に思えるくらいフラットっていうか。「自分の方向性に当てはめる」のではなくて「太田さんは、こういう風に書いてきてるから、こうやろう」っていうのが確かにある気がする。今までは、あんな直接的な言い方しないもんね、「ここは落ちるところだから、すっとスパゲティ言って」とか。あれって完全にお客さんを笑わすための方法で、前は周りの出演者がそう思ってても、(黒岩さんは)そういうアプローチはしなかった。結果的にそうさせたくても「このときはこうだから、お母さんは真剣に言って下さい」って。それに対して真剣に言うからその結果が笑いになるっていうやり方だったけど、今は普通に読んで面白いと思うところをちゃんと太田さんが書いた構造どおりに伝えてる。昔はそれを説明するために・・・
小林 30分とかダメ出ししたり。
山 聞いたことあるんだよね、黒岩さんに。時間をかけて状況説明してもわからない若手の役者が居てね。それでも黒岩さんは、イメージを湧かさせようとする。「そんなの『ちょっと声高く言って』とか『こういう言い方すれば』って言えばすぐだし、逆にその方が役者もすぐ解決していいと思いますけど」って言ったら「僕はそうしたくないんだ」と。「そうすると自分のイメージを相手に渡すだけで、そこから広がらない。自分は状況だけ教えて相手が何を持って来るか。結果的に自分が要求してるようになればそれでいいし、自分が知らない何かが出て来た時は、それはそれでいい」って。それを聞いた時に、黒岩さん流なんだなって思った。
小林 太田君の作品は表層だけをやっちゃうと、面白いのかもしれないけど、だから何だったの?って何もなくなってしまう危険性があるからね。
山 面白くて笑えるだけってなっちゃうとね。
小林 黒岩さんは表層の下に隠された部分をしっかり作らなきゃいけないと思ってるのかなと。だから太田さんと黒岩さんの組み合わせっていいのかもしれない。
山 それと黒岩さん自身が乗ってんのかなって。演出して作り上げる!っていう使命とかじゃなくて、自分が楽しいっていうか。聞いてみたら違うって言われるかもしれないけど。
=====================================
劇団青年座 第228回公演
真っ赤なUFO
9月29日(金)〜10月8日(日) 青年座劇場
◆出演者ブログ◆
高松潤ブログ「チョイと土手まで来い!」→ページはこちら
當銀祥恵ブログ「気儘に、まにまに」→ページはこちら
<チケット取り扱い>
劇団青年座=0120-291-481(平日11:00〜18:00)
『真っ赤なUFO』チケット予約フォーム
チケットぴあ→申込みページ(Pコード480-895)電話0570-02-9999
ローソンチケット→申込みページ(Lコード31678)電話0570-084-003
イープラス→申込みページ