劇団青年座第245回公演『アルビオン-白亜の地イングランド』
作=マイク・バートレット 翻訳=小田島則子 演出=伊藤大

劇団青年座公演『アルビオン-白亜の地イングランド』5月21日から30日まで六本木の俳優座劇場で上演! 
稽古は着々と進んでおります!
本作品をより楽しんで頂くために、前回公演よりスタートしました企画

劇団員が深掘りインタビュー!!

全3回でお届けしている小田島則子さんへのインタビュー最終回です!
ロンドン留学中のお話やプライベートなことまで最後まで盛りだくさん!

是非楽しんでご覧下さい
(劇団員の佐野美幸がインタビューを担当します)
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佐 野:ロンドン大学大学院に留学中、ロンドンで過ごした1年間についてお聞きしてもいいですか?

小田島:一言でいうと貧困生活でしたね。大学の寮ではなく、普通のフラットの一部屋を借りていたのですが、家賃が高かった。30年前からロンドンは東京より高いんじゃないかな。当時は買うのはそれほど高くないけど、借りるのはとにかく高いと言われていて。幸い、当時でも珍しかった前時代の遺物のような、電気とガスがメーターにコインを入れると供給されるタイプの恐ろしく旧式の部屋が見つかり、暮らすことができました。
日本では2年かかる修士課程を1年で取得できるコースに入ったので、一日中本を読んでいないといけないくらい(授業を)詰め込まれてしまって…。
あと労働法に引っ掛からない程度のアルバイトをさせてもらってました。日本人学校の補習校で、1〜4時間目まで日本語だけを教える日があって、そこで国語を教えていました。何で労働法に引っ掛からないかというと、お給料は現金じゃなくって、ロンドンの高級スーパーマーケット「マークス&スペンサー」の商品券で支払われるんです。大きな額の商品券でくれるので、これで安い物を買うとお釣りがくる(笑)。それとロンドンの大きな法律事務所で日本語を教えていました。濃密な一年でした。普段の生活で節約をして、クリスマスホリデーやイースターホリデーになると、レンタカーを借りて遊びに行ったりはしてました。

佐 野:お芝居を観に行くことは?

小田島:お金も時間も余裕がありませんでしたが、どうしても観たい舞台は観ました。『セント・オスカー』というオスカー・ワイルドを主人公にした戯曲を文芸批評家のテリー・イーグルトンが書いたというので、学校の教室かってくらいの小さな劇場へ観に行ったり…、シェイクスピアは何本か、ストラトフォードでも観てました。また恒志の両親の友人である仲代達矢・隆巴御夫妻がロンドンにいらっしゃる時にチケットを取ってくれと頼まれて、ついでに私達もご一緒させていただいたり。その当時はそれほど芝居を見ていないですね。二人とも専門がイギリス小説で戯曲ではなかったので。特に気になる劇作家がいるわけでもなく…。大学のコースの中ではベケットやキャリル・チャーチルは課題に入っていましたが。ちょうど在学中、ベケットが亡くなり、メディアでもさかんに目にするということはありました。

佐 野:演劇とは全く関係ないんですけど、イギリス料理って美味しいんですか?(笑)

小田島:はっきり言って、私が初めて行ったときは不味かったです。何でもオーブンに放り込んで火を通せばいいみたいな。鳥を丸ごと塩胡椒してその周りにジャガイモとか芽キャベツとか人参を置いてそのままオーブンに入れて…。お野菜の歯ごたえが全部一緒(笑)。お肉なんかもフレンチだとおいしいソースを作りますが、イギリスは肉汁で作るグレイビーソース。肉汁にコーン・スターチでとろみをつけただけみたいな。(笑)
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佐 野:自炊されてたんですか?

小田島:留学中は自炊でした。お米はスーパーにイタリア米のロングライスとショートライスが売っていて、ショートは日本のお米に似ていて、お鍋で普通に炊いてお肉を焼けばそれなりに…。島国なのでお魚もスーパーにたくさん並んでいます。サーモンは日本より安くて、私はサバが好きでした。生もありましたが、燻製が美味しかったです。あの時の生活は辛かったと言えば辛かったですかね。

佐 野:ご子息の創志さんも翻訳のお仕事をされていますね。

小田島:そうなんです。息子も同じことすると思わなくて。研究者になる! 翻訳なんてやらない!ってずっと言っていたのに…。

佐 野:翻訳する時に協力し合うことはありますか。

小田島:『クマのプーさんの哲学』を翻訳した時は、出版社に提出する前に、義父に自分の翻訳を見せて赤を入れてもらいました。その頃は子供が小さかったので自宅で子供を遊ばせながら、「これはこうじゃない。こう書いてあるんだ。」と指導してもらって。一対一で翻訳を教わりましたから凄く勉強になりました。

佐 野:それは貴重な体験ですね。

小田島:はい、大恩人です。でも義父に自分の翻訳を見せるのは編集者に見せるよりも怖かったです。義父に提出する前に恒志にチェックしてもらいました、これをお父さんに見せようと思うんだけどって(笑)。

佐 野:創志さんから翻訳の相談があったりするのですか?

小田島:創志はあまり親に頼ってこないですね。ただ、こういうのを訳しました、と事前にデータを見せてくれることはあります。

佐 野:仕事上やプライベートで、小田島家のルールはあるんですか?

小田島:全然ないですね。とにかくよくしゃべります、みんな。

佐 野:喧嘩とかします?

小田島:普通の喧嘩なら年中(笑)。言ったの言ってないの、聞いたの聞いてないの(笑)。

佐 野:コロナ禍の今、どのようにお過ごしですか?

小田島:とにかく家にいる時間が増えて。最初に困ったのが恒志も家にいること(笑)。毎日夕食を家で食べるの?みたいな。一所懸命献立を考えて料理してたんですけど、あまりにこの状況が続くので、ちょっともう勘弁してほしい(笑)。去年の暮れから猫を飼い始めまして、いい緩衝材になってくれています。
ハナ写真

                            小田島さん撮影「ハナ」

佐 野:猫を飼ったのは初めてですか?

小田島:初めてです! 実家が寺で犬も猫も鳥も複数いたんですけど。結婚してからは初めてです。可愛いです。名前はハナといいます。ほんとはユダヤ名の感じでハンナにしたかったんですけど、言いにくいのでハナにしました。最近の文学批評で動物論というのが流行っているようですが、ピンターなどの閉塞的な、突然自由を奪われてしまうような世界とか。外の世界に目が開かれているのかとか。動物と人との境はどこなんだとか考えてしまいます。ハナはペットショップで買ったのですが、この子は売買されるために生まれたの? これは人間のエゴなの? 野良猫のほうが幸せなんじゃない? と。でもペットちゃんの方は、そんなことは我関せずで。

佐 野:考えてしまいますよね。でも、ハナちゃんがいて、恒志さんがいて…(笑)

小田島:もう順位は入れ替わってますから(笑)。そしてついに創志が一人っ子の座を奪われた(笑)。既にハナは家族の一員というよりも家族の中心です(笑)

佐 野:不慣れなインタビューで色々と脱線しちゃいました(笑)。本日は本当にありがとうございました!

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小田島さんのインタビューを3回にわたってお届けいたしました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
お楽しみいただけたでしょうか?
劇団青年座海外戯曲シリーズ第6弾『アルビオン-白亜の地イングランド』にご期待下さい!
皆様のご来場を心よりお待ちしております!


公演情報はこちら↓

『アルビオン-白亜の地イングランド』
2021年5月21日(金)〜30日(日) 俳優座劇場
http://seinenza.com/performance/public/245.html