劇団青年座第249回公演
『燐光のイルカたち』
作=ピンク地底人3号 演出=宮田慶子

秋めいてきた今日この頃、9月23日(金)から青年座公演がスタートします!

公演をより楽しんで頂くために!
青年座初登場のピンク地底人3号さんにインタビューしました。

聞き手を務めますのは、劇団員の佐野美幸と小暮智美です。

ピンク地底人3号さんを知って、芝居を観る‼︎
これまた芸術の秋に持ってこいなのではないか‼︎‼︎
と興奮するインタビュアーの佐野&小暮です(笑)

楽しくて興味深いお話をお聞きすることができました!

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(左より:ピンク地底人3号氏、佐野美幸、小暮智美)

今回、青年座から執筆の依頼が来た時の率直な気持ちをお聞かせください。

今回の公演パンフレットにも書いたんですけど、実は、いずれオファーが来ると思っていました。僕は往々にして、想像したことが現実になるところがあります。瀬戸山美咲さん、中津留章仁さん、長田育恵さん、中村ノブアキさん……僕の一世代上の劇作家の多くが、青年座さんに書き下ろしをされていますよね。ただ、川上さん(青年座製作)からご連絡を頂いた時は、コロナが拡がって東京で上演する予定だった公演ができなくなってしまい、東京進出が遅れてしまったなぁと思っていた時期だったので、嬉しかったと同時に、思ったより早かったなと思いました。

青年座の事は認識して下さっていたと言う事ですね。

もちろんです。大学の卒論で70年代演劇について取り上げたのですが、当然、築地小劇場のことから調べるんです。そうしたら新劇の話にもなってくるし、そこに青年座さんも出てくるし、宮田慶子さんとマキノノゾミさんとの関係も知ることになります。

『燐光のイルカたち』を書くに至った経緯を教えて下さい。

きっかけは色々あるんですが、9.11(アメリカ同時多発テロ事件)の事が自分の中で強迫観念的にありまして、僕の作品ではかなりの多くの作品に背景として出て来ます。その中で、いつか9.11を「直に描かなければならない」と思っていました。そんな時に青年座さんからご連絡があって…。東京で上演する、そして劇作家として書き下ろす、ということが僕にとって初めての経験だったので、この大切な機会に、9.11に関することを書きたいなと思いました。

第7稿まで 戯曲を改稿したと聞いたのですが、稿を重ねる中で演出の宮田とのやり取りで感じたことを教えていただけますか。

初稿は早かったんですよ。去年(2021年)の12月にはあげていて、第1回の打合せの前にお送りしました。演出が宮田さんと決まって、宮田さんのことを色々調べていたら、とにかく台本が遅いのは困ると書いてあるのを見つけて…(笑)。とりあえず何をやりたいかが分かる、アウトライン的な台本を最初に仕上げました。その時点で「壁」の話を書くこと、最終的には「9.11」の話になることは決まっていました。
これまで僕は、現実に即した戯曲を多く書いてきました。だいたい京都のやさぐれた地域を舞台にしていたので、劇の土台について悩むことはありませんでした。だから今回の物理的な「壁のある町」という設定は、言ってしまえば嘘をついてる事になるんです。出てくる人たちは日本語、しかも関西弁を話しているけど、そこは日本なのか?みたいな疑問が常に付きまとって。リアリティラインの設定が実はかなり難しかったです。
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その辺りに関しては宮田さんと相当話をしました。『燐光のイルカたち』に出てくる町のベースはイスラエルとパレスチナ自治区なんですが、そこだけに限った話ではありません。宮田さんは僕よりも先輩で、ベトナム戦争やベルリンの壁の崩壊をリアルタイムで経験されています。もっと普遍的な、世界で起きている「壁」のある国々の話にできれば良いねって、何度も話をしながら改稿を重ねました。その作業は非常に楽しかったです。
僕は普段演出もやっているので、書いたものを俳優さんに渡して、演技を見ながら書き替えをするんです。実際に俳優に演じてもらうことで、「これは違う」ということを知ることができるんですね。でも今回はそういう訳にもいかなくて。じゃぁそこをどうやって埋めていけばいいのかと不安になっていた時に、宮田さんの極めて客観的な視点にはものすごく助けられたし、僕が今までに経験したことのない戯曲の書き方をさせて頂いたと思っています。

僕は、今回の演出が宮田さんで本当に幸運だったなと思います。ソリが合わなかったり、やろうとしてる事が違ったりしたら大変じゃないですか。その辺の擦り合わせに関しては、今回苦労した記憶はないので本当に幸せな巡り合わせだったと思います。

9.11が作品創りの根底にあると先程お話されましたが、9.11の事件を見た印象はどうでしたか?

9.11のリアルタイムの時は17歳だったと思いますが、正直言うと、その時は全く現実感が無い、遠い国の出来事という印象でした。
2015年、ニューヨークに滞在した時にツインタワー(事件が起こったビル)の跡地に行ったんです。そしたら更に高くなった新しいビルが建て直されていたんですよ。それを見た時に、あんなことがあってもまた同じ様なことをするんだって、それが僕の中ではあまりにもショッキングな出来事で。17歳の時にニュースで見た時の感覚より、この時のことが鮮烈でした。まだ工事作業は終わっていなくて、周りの公園では子ども達が普通に遊んでいた。公園の真ん中には亡くなった人達の名前の書いてある慰霊碑が建っていて……たくさんの人が亡くなった所で、既に色んな人たちの生活が始まっていた。
その時の出来事が忘れられなくて、その後しばらくして、イスラエルにも行きました。それらのことがつながって今、こうして青年座さんに戯曲を書き下ろしているという感じです。

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第二回に続く・・・
次回は作者ピンク地底人3号さんの謎に迫ります!!


公演情報はこちら↓
『燐光のイルカたち』
2022年9月23日(金)〜10月2日(日) ザ・ポケット(中野)
http://seinenza.com/performance/public/249.html