劇団青年座第259回公演
『穏やかな人と機』
作＝池内風 演出＝磯村純
12月12日(木)〜22日(日)＠新宿シアタートップス
青年座初登場の池内風さんにインタビュー後編！
聞き手を務めますのは、前編に続き劇団員の小暮智美(こぐれともみ)です。
『穏やかな人と機』
作＝池内風 演出＝磯村純
12月12日(木)〜22日(日)＠新宿シアタートップス
青年座初登場の池内風さんにインタビュー後編！
聞き手を務めますのは、前編に続き劇団員の小暮智美(こぐれともみ)です。
(池内風氏)
タイトルが『ディベロップ（仮題）』から『穏やかな人と機』に変更となりました。どんな思いを込められたのでしょう。
川上さん(製作)より、そろそろ正式なタイトルを決定しましょうとご連絡があり、色々考えていたのですが、良いのが思いつかないと苦しんでいました・・・。何も思いつきませんと返信しようとしていた時に「あっ！人と機械の話だ・・・」と少し引っ掛かり、�狄佑筏ヽ��瓩箸いΔ里魄貪拱源�に書いたんです。そしたら�爐劼箸箸��瓩貌匹瓩襪隼廚辰董ΑΑΑ�この作品は、機械やAI、またそれに伴うコミュニケーションツールなどを要介護者が使用する際に、果たして人間とのやりとりと同じ温もりを感じるのか？人は豊かな時間を過ごすためにどういう選択をしていくのか？といったテーマを扱っています。私自身は高齢の方の豊かさは、穏やかさや人との交流など、金銭的な価値より、そうしたものに価値を置くと思っています。ですので、その「穏やかなひと時」を得るための選択に「人と機械」がどのように関与していくのか、考えられそうだと思い『穏やかな人と機』というタイトルにしました。
素敵なタイトルだと思います。池内さんにとっての「おだやかなひととき」はどんな瞬間ですか。
どんな時でしょうね・・・。最近、思うことは肉体的な疲労より心の疲労がすべて人間の人生を左右していく気がしています。どれだけ身体が疲れていても、稽古の途中で上手くいかなかったことが解消されて劇的に作品が前進した瞬間だったり、公演が始まって喜んでくれるお客様の顔を見たりすると、幸福感が訪れます。たまに仕事を抱えている時にこっそりSPA（スパ）へ行ったりもするんですけど、肉体的には回復しているかもしれませんが、実は心は全く休まっていなくて・・・。帰ってきて寝る前に時間だけが経過した事実だけが残り、仕事は一向に進んでいないなと・・・。全然おだやかになってないですね(笑)。やっぱり心のおだやかさをいかに保つかが必要ですよね。ちょっと作品と関連しすぎてしまうのですが、人間同士が共鳴し合う瞬間を大事にしたいです。人と人なので嫌なこともたくさんありますけど、ちゃんと言葉を交わし、お互いの意見を伝えあった時に、問題が改善されたら良かったなぁって心の底から思える。そんな瞬間に「おだやかなひととき」を感じるかもしれませんね。
(小暮智美)
よく分かる気がします。そのためには良く食べて、良く寝て、心の体力が必要だと思いました。
本当にそうだと思います。心を開いて歩み寄るって時間も掛かるし勇気がいることで・・・。こちらがそのつもりでも相手はそうではなかったり、その心をうまく利用され、ずかずかと踏み込まれて、心の陣地を取られてしまう、そんな時がありますよね。お互いに適度な距離を取り、ちゃんと線を引いて尊重しようねって話をしているのに、突然梯子を外されるみたいな・・・。それでもやっぱり勇気を持って話し合うということが大事だと思います。なかなか難しいですけどね。最近の自分の合言葉は「遠回りは一番の近道」というのをテーマにしています。人と話すことはもはや遠回りになっている気がしますが、相手としっかり会話して自分の足でちゃんと歩くことが結局は近道になると思い生きています。本当にゴールに向かっているのか不安になるような遠回りする時もありますが(笑)。
とても貴重なお話ありがとうございます。それではいよいよ12月12日から始まります『穏やかな人と機』にご来場いただく観客の皆さまに向けて、メッセージをいただけますか。
もしかしたら、私と青年座の組み合わせは、想像するのが難しいコラボレーションじゃないかと思います。でもそれがきっと、面白いと思えるような良い方向に転がる気がしています。観客の皆さんがどんな作品になるのか想像し難いほうが、観た時にビックリするでしょうし、作品と出会えた時の喜びが増すのではないかと。このマッチングにより、どんな作品になっているか劇場で見届けてほしいです。
拝見するのがとても楽しみです。本日はお忙しいなか、ありがとうございました。
