劇団青年座第253回公演
『同盟通信』
2023年初演時、大好評で幕を閉じた本作が早くも待望の再演です。
観劇をより楽しんで頂くべく、今作の演出家•黒岩亮のインタビューを全4回に渡りお届けします。
本日はその1回目、質問者は劇団員の小暮智美がつとめます。
小暮：初演時にさかのぼっての話になりますが、古川健さん新作の題材が「同盟通信」になった経緯をお話いただきたいです。
黒岩：パンフレットにも書いたんですけど、鳥居民さんっていうノンフィクション作家が書いた「昭和20年」という本があって、昭和20年の1月1日から12月31日まで、天皇から政府要人、軍部、兵士、文人、学者、一般庶民から子供たちまで様々な人たちの様子を一日ごとに綴った巨大ノンフィクション作品なんです。でも7月2日までいったんだけど、途中で鳥居民さんが亡くなってしまった。だからこのノンフィクションは未完で終わっているんです。
この本をずいぶん昔に読んでいて、二巻目の「崩壊の兆し」っていう巻に、米・英・ソの間で行われたヤルタ会談のニュースを同盟通信が「リスボン発同盟」っていうクレジットで日本の報道機関に流していた。だけど実はアメリカのサンフランシスコ放送を同盟通信が傍受して、リスボンに特派員がいるかのような体裁をとって配信していた。その頃は同盟通信自体のニュースソースはもうヨーロッパにはなくて、アメリカの放送やイギリスBBCなどの放送を傍受して、ヨーロッパの情勢とか太平洋の戦局を、都合のいいニュースと都合の悪いニュースを選別して配信していたという。そんな記述が鳥居民さんの「昭和20年」にあったのね。この外国放送を傍受してニュースを流してたってことが、とても印象に残っていて気になっていた。
そして古川健さんに新作を依頼する時に、戦時下にニュースを配信していた同盟通信はどんな仕事をしていて、どんな役割を果たしていたのかを描いてもらったらどうだろうかと提案した。
そして打ち合わせの時期がロシアによるウクライナ侵攻が始まった頃で、ロシアのタス通信がロシア国民にどんな報道をしているのかも話題になった。当初はモスクワでも戦争反対のデモがあって、デモ参加者が機動隊にポコポコやられていく映像が流れたけど、今一切流れてないからね。都合の悪いニュースは消されていく。これはどういうことなのか。ロシア、中国、北朝鮮といった一人の人物があらゆる権力を持っているいわゆる専制国家では、表現の自由や行動の自由が束縛されている。そんなのは20世紀で終わったと思ったことが、再び起こっている。今年は大戦終結80年だけども、歴史は巡るって感じですよね。
最後まで読んで下さりありがとうございます！ 第2回に続きます！！
ーーーーーーーー
劇団青年座第253回公演
『同盟通信』
作＝古川健 演出＝黒岩亮
4月18日(金)〜4月22日(火)
恵比寿・エコー劇場
劇場にて心よりお待ちしております！
『同盟通信』
2023年初演時、大好評で幕を閉じた本作が早くも待望の再演です。
観劇をより楽しんで頂くべく、今作の演出家•黒岩亮のインタビューを全4回に渡りお届けします。
本日はその1回目、質問者は劇団員の小暮智美がつとめます。
小暮：初演時にさかのぼっての話になりますが、古川健さん新作の題材が「同盟通信」になった経緯をお話いただきたいです。
黒岩：パンフレットにも書いたんですけど、鳥居民さんっていうノンフィクション作家が書いた「昭和20年」という本があって、昭和20年の1月1日から12月31日まで、天皇から政府要人、軍部、兵士、文人、学者、一般庶民から子供たちまで様々な人たちの様子を一日ごとに綴った巨大ノンフィクション作品なんです。でも7月2日までいったんだけど、途中で鳥居民さんが亡くなってしまった。だからこのノンフィクションは未完で終わっているんです。
この本をずいぶん昔に読んでいて、二巻目の「崩壊の兆し」っていう巻に、米・英・ソの間で行われたヤルタ会談のニュースを同盟通信が「リスボン発同盟」っていうクレジットで日本の報道機関に流していた。だけど実はアメリカのサンフランシスコ放送を同盟通信が傍受して、リスボンに特派員がいるかのような体裁をとって配信していた。その頃は同盟通信自体のニュースソースはもうヨーロッパにはなくて、アメリカの放送やイギリスBBCなどの放送を傍受して、ヨーロッパの情勢とか太平洋の戦局を、都合のいいニュースと都合の悪いニュースを選別して配信していたという。そんな記述が鳥居民さんの「昭和20年」にあったのね。この外国放送を傍受してニュースを流してたってことが、とても印象に残っていて気になっていた。
そして古川健さんに新作を依頼する時に、戦時下にニュースを配信していた同盟通信はどんな仕事をしていて、どんな役割を果たしていたのかを描いてもらったらどうだろうかと提案した。
そして打ち合わせの時期がロシアによるウクライナ侵攻が始まった頃で、ロシアのタス通信がロシア国民にどんな報道をしているのかも話題になった。当初はモスクワでも戦争反対のデモがあって、デモ参加者が機動隊にポコポコやられていく映像が流れたけど、今一切流れてないからね。都合の悪いニュースは消されていく。これはどういうことなのか。ロシア、中国、北朝鮮といった一人の人物があらゆる権力を持っているいわゆる専制国家では、表現の自由や行動の自由が束縛されている。そんなのは20世紀で終わったと思ったことが、再び起こっている。今年は大戦終結80年だけども、歴史は巡るって感じですよね。
最後まで読んで下さりありがとうございます！ 第2回に続きます！！
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劇団青年座第253回公演
『同盟通信』
作＝古川健 演出＝黒岩亮
4月18日(金)〜4月22日(火)
恵比寿・エコー劇場
劇場にて心よりお待ちしております！
